PDLCスマートスクリーンは、通常不透明(乳白色)のフィルム・シートで、通電すると透明になります。通電を止めると元の白色に戻ります。
通電していない白色の状態では電力消費0, 通電して透明状態でも消費電力はわずかです。
透明ー不透明の切り替えは数ミリ秒と高速で、細かいON-OFFを繰り返すことで透明ー不透明の中間の白色度をつくることもできます。
PDLCスクリーンの材質は薄いプラスチック(PET)フィルムですので、軽く柔軟性に富み、そのまま吊り下げたり、ガラスやアクリル材に貼りつけたり、軽く巻いて曲面の加工をしたり、と使い方は多様です。
スポンジのような細かい網目構造のポリマーの隙間を液晶が埋めているセル層を透明電極膜付の透明フィルムで挟んだ構造をしているのがノーマルPDLCです。
電圧がかかっていない状態では、液晶分子はランダムな方向を向き、無配向状態になっています。この時、液晶液滴間での複屈折や、液晶と網目状ポリマーとの屈折率の差が原因で、入ってくる光は散乱され、曇りガラスのように白濁して見えます。
上下の透明電極膜に電圧をかけると、液晶分子が電圧をかけた方向に沿って直線的に並びます。この状態の液晶の屈折率は(膜厚方向から見て)小さくなります。網目状ポリマーの屈折率を適切に選べば、分子が並んで小さくなった液晶との屈折率差をほとんど無くすことができ、入ってくる光は散乱されずに透明に見えます。
PDLCは素子としては容量性負荷として振舞います。一般的には焼き付きを防ぐために、交流(AC)で駆動します。透明電極のシート抵抗に起因する数10~1000Ω程度の直列抵抗Rsと、ポリマー分散液晶本体の0.1~10 μF程度の静電容量Ccと数MΩ程度の並列絶縁抵抗を接続した等価回路で表せます。
大面積のPDLCシートの場合、電極の取り出し方によってはRsが大きくなり、均一に電圧が伝わらないことがあります。また駆動電力の小さい内部抵抗の高い電源では、Rsの電圧降下によって十分な電圧がかかりません。
ただし矩形波の正負に偏りがあって、電圧の時間平均が0でなかったりすると液晶を損傷します。また電流容量が十分に大きくないと波形が鈍り、ヘイズが大きくなってしまいます。
高い信頼性のある、実績ある建築外装用グレードです。
高い信頼性と耐熱性に優れた、車載用グレードです。
グレード | SFBF-HTR | SFAF-HTR | SFBV-HTR-ES | SFAV-HTR-ES |
用途 特徴 |
建築外装用 |
建築外装用 |
車載用 |
車載用 |
使用温度 | 10~85℃ | 10~85℃ | 10~95℃ | 10~95℃ |
UVカット | >40%(透明時), >95%(乳白時) |
>40%(透明時), >95%(乳白時) |
>99%(透明時), >99%(乳白時 | >99%(透明時), >99%(乳白時 |
UVカット | >40%(透明時), >95%(乳白時) |
>40%(透明時), >95%(乳白時) |
>99%(透明時), >99%(乳白時 | >99%(透明時), >99%(乳白時 |
動作モード | 電源ON時: 透明状態(無色) 電源OFF時:白濁状態 |
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透過率 | 85±1% (ON時), 35±1% (OFF時) | |||
動作電圧 | AC 50/60 Hz 65V . (120 cm幅×300 cm長) | |||
ON時の消費電力 | 5W / m2 | |||
応答速度 | OFF → ON (白濁→透明): 0.0002 秒 (= 2 ms). ON → OFF (透明→白濁):: 0.0010 秒 (=1 ms) | |||
保管温度 | 10 ~ +65℃ | |||
標準(在庫)シート幅 | 120 cm | |||
最大(受注生産)シート幅 | 150 cm | |||
繰返し寿命(ON↔OFF) | 5,000,000 回以上 | |||
保証期間 | 通常使用で1年 |