シロキサンポリマー材料

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シロキサンポリマーは、Si-O-Si結合(シロキサン結合)を基本骨格に持つポリマーの総称です。

シロキサン結合は、イオン性の割合が高い共有結合で、結合エネルギが大きいため、強固で熱によって切断されにくく、酸化に対しても安定で、シロキサンポリマーには驚くほどの耐熱性と耐酸化性があります。

シロキサンポリマー基本骨格のケイ素原子(Si)に、さまざまな置換基を結合させることで特性をチューニングでき、特色ある機能を発揮します。

無機基で置換し優れた耐熱・耐光性と高い硬度を有するポリシリケート、有機基で置換して優れた耐熱性を保持したまま厚膜成膜が可能となるポリ(オルガノシロキサン)系材料、重合性の有機基で置換し、重合性の有機モノマーと共重合・ハイブリッド化したハイブリッドシロキサン材料などを商品化しました。

※シリコーン系材料との類似点と相違点

シリコーンレジン、シリコーンゴム、シリコーンオイルなどのシリコーン系材料も、Si-O-Si結合を持つポリシロキサン材料の一種ですが、ポリマーがSiにCH3基が2つ置換したジメチルシロキサンの単位構造を持つため、Si-O-Si鎖は平面や空間に広がる網目構造をとらず、1次元的に長く伸びています。

この長い分子鎖は、架橋構造をとらないため、ジメチルシロキサン構造をもつシリコーン系材料の多くは柔軟な材料となります。シリコーン系材料を使用する場合に問題になりやすいのが、加熱時の低分子量ジメチルシロキサン成分の揮発です。少量不純物として元から含まれる低分子成分や、熱解重合によって分解生成する低分子量ジメチルシロキサンが揮発し、冷部に凝結することで、用途によっては、装置汚染や接点不良の原因になるおそれがあります。

Maxsil シリーズのポリマー主鎖は網目状に架橋するシロキサンユニットを単位としているため、低分子成分の揮発による汚染の心配はありません。


ポリシリケート材料

シロキサン Si-O-Si のSiがすべて酸素(O)に結合しているポリマーは、"ポリシリケート"と呼ばれ、4つの酸素原子を介してSiが高密度で架橋していることから、非常に硬度の高い材料となります。また、有機基が含まれていないので、加熱による酸化・分解や揮発などが無く、極めて高い耐熱性を持ちます。

ポリシリケートの溶液を塗布し熱硬化させた膜は、石英ガラスに類似したアモルファスシリカ構造となるため、この溶液を「液体ガラス」や「無機SOG (inorganic spin-on-glass)」と呼ぶこともあります。石英ガラスと同等の耐熱性、透明性、絶縁性と耐薬品性を発揮します。

ただし、硬化に伴う収縮が大きく、硬化後の材質が硬く脆いため、硬化時に応力で割れやすく、厚い膜を形成するのには不向きです。


Maxsil 10はポリシリケートの末端がすべて-OHになっている「ポリシラノール」とも呼べるような完全無機材料です。


熱を加えるとSi-OHが脱水縮合によって3次元的に架橋し、非常に硬いSiO2質の膜を形成します。

このようなポリシリケートは、一般的にはあまり安定ではなく、経時変化によって増粘したりゲル化したりしがちでしたが、 Maxsil 10は独自の安定化技術によって、数か月の間、安定な溶液として保存できます。
 
塗布液の性状
外観・性状無色透明液体
固形分濃度1 - 10 wt%
主成分ポリシラノール
溶 媒IPA (アセトン, エタノール, PGME, PGMEA等も可)

成膜方法
塗布(スピンコート、スプレーコート、スリットコート)→乾燥(80℃3分)→熱硬化(150~900℃)30分
  ※硬化温度は求められる耐熱性によって決定します。例えば300℃の耐熱性が必要な場合は300℃以上で硬化させてください。
※成膜可能膜厚:0.05 µm~0.5 µm

塗布膜の特性
鉛筆硬度7H
透 過 率98%以上 (550 nm)
誘 電 率4.5 (@ 1 MHz)
屈 折 率1.45 (550 nm)
耐薬品性30%NaOH, 2.38%TMAH, 5% HCl, 5%H2SO4, NMP, MEK, DMSOなど
フッ酸を除くほぼすべての酸・アルカリ・有機溶剤に対して耐性がある。
耐熱温度硬化温度を上限とし、最大900℃まで
膜収縮率5%(150℃硬化)-10%(250℃硬化)-22%(900℃硬化)

用途例
  • 金属、プラスチック用ハードコート
  • 塗料用の硬度増強添加剤
  • 金属や炭素材料の耐熱・耐酸化性保護膜
  • 耐候性透明絶縁膜
  • 反射防止膜(単独あるいは多層膜の最表層)

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Maxsil HS9はシロキサンのケイ素の置換基をすべて水素とした無機材料で、有機基を含みません。

硬化生成物組成はHSiO3/2となるので、水素シルセキオキサン(Hydrogen Silsesquioxane)、略してHSQと呼ばれることもあります。 Siに結合している水素が架橋点にならないため、Maxsil 10 "ポリシラノール"より架橋密度が小さくなるため、厚膜に成膜できます。

また、酸素や水蒸気による(300℃以上)高温酸化によって緻密なSi-O-Siを形成し、かえって熱安定性が高まります。

Maxsil HS9に、さらにシリカナノ粒子を配合して厚膜成膜できる塗布剤: Maxsil HS9Sも開発中です。


塗布液の性状
外観・性状無色透明液体
固形分濃度1 - 30 wt%
主成分ポリ(水素化シラノール)
溶 媒プロピレングリコールジメチルエーテルなど

成膜方法
塗布(スピンコート、スプレーコート、スリットコート)→乾燥(80~150℃3分)→(リフロー 180℃ 15分→)熱硬化(200~350℃)30分
  ※硬化温度は求められる耐熱性によって決定します。例えば300℃の耐熱性が必要な場合は300℃以上で硬化させてください。
※リフロー工程は高度な平坦化が必要な場合におすすめします。
※成膜可能膜厚:(通常タイプ) 0.05 µm~1.5 µm

用途例
  • 耐UV透明・透明ハードコート
  • 耐光・耐熱・耐酸化性保護膜
  • 耐熱性絶縁・平坦化膜
  • 反射防止膜(単独あるいは多層膜の最表層)


ポリオルガノシロキサン材料

ポリオルガノシロキサンは、シロキサンのケイ素に1価の有機置換基を直接結合したシロキサンポリマーです。


 
  ポリオルガノシロキサン結合のシロキサン結合も、ポリシリケートと同様、脱水縮合によって3次元的に架橋して硬い構造を形成しますが、有機置換基の効果でSi-Oの結合は3方向に制限(ポリシリケートは4方向)されるためと、置換基の立体障害の影響で、比較的柔軟で応力の小さい膜を形成します。 硬化膜はアモルフォスで、ガラスのように緻密で透明なことから、ポリオルガノシロキサンは「有機SOG (Organic Spin-on Glass)」と呼ばれることもあります。

有機置換基の種類によって、メチルシロキサン系フェニルシロキサン系に分類されます。

ポリ(メチルシロキサン)

ポリ(メチルシロキサン)は、ポリオルガノシロキサンの置換基が主としてメチル基のもので、比較的タイトな架橋構造をとるため、高硬度でやや厚い膜が形成できます。 結合しているメチル基は熱的に安定で、非酸化性雰囲気下であれば、500℃程度までの熱安定性があります。空気中では300℃程度までであれば酸化に対する耐性があります。

Maxsil S1はシロキサンのSiにすべてメチル基が結合しているポリマーで、完全硬化後の組成がCH3SiO3/2となることから、メチルシルセスキオキサン(MSQ)と呼ばれることもある材料です。高硬度で屈折率の小さい膜を形成します。また、硬化温度以下の180℃付近で、膜が軟化し流動する(リフロー平坦化)する特徴があり、細かい段差や溝を埋込み、表面を平坦化することができます。
Maxsil S1の硬化膜表面は、極性の小さいメチル基で覆われるため、撥水性があり、防汚コーティングとしても使用できます。 電気的には、絶縁抵抗が高く誘電率も低いため、半導体の多層配線や信号用の高機能絶縁膜としての用途もあります。

 
塗布液の性状
外観・性状無色透明液体
固形分濃度10 - 15 wt% (調整可能)
主成分ポリメチルシルセスキオキサン
溶 媒PGMEA
粘 度2.5 cP

成膜方法
塗布(スピンコート、スプレーコート、スリットコート)→乾燥(80~150℃1分)→→(リフロー 180℃ 15分→)熱硬化(180~250℃)30分
  ※硬化温度は求められる耐熱性によって決定します。例えば300℃の耐熱性が必要な場合は300℃以上で硬化させてください。
※成膜可能膜厚:0.3 µm~1.5 µm
熱硬化(200~350℃)30分
  ※リフロー工程は高度な平坦化が必要な場合におすすめします。

塗布膜の特性
鉛筆硬度5H (250℃硬化時)
透 過 率99%以上 (400~800 nm)
誘 電 率2.8 (@ 1 MHz)
屈 折 率1.38 (550 nm)
耐熱温度硬化温度を上限とし、最大450℃まで

用途例
  • 疎水性ハードコート、防汚コート
  • 金属や炭素材料の耐熱・絶縁性保護膜
  • 半導体/TFT用平坦化絶縁膜
  • 反射防止膜(単独あるいは多層膜の最表層)

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Maxsil 410は、シロキサンのケイ素の一部をモノメチルとジメチルで置換したもので、やや「無機性の高い」柔軟な膜を形成します。

優れた電気特性(高絶縁性と低誘電率)を有することから、LSI多層配線用の層間絶縁膜としての用途があり、またかなり厚膜としても割れにくいことから、導電箔の絶縁やITOパターンの絶縁など従来気相成長(CVD)が使われた用途を置き換えられます。

 
塗布液の性状
外観・性状無色透明液体
固形分濃度5 - 30 wt%
粘 度2.5 - 3.0 mPa・s(13 wt%)
主成分ポリメチルシロキサン
溶 媒PGMEA, IPA

成膜方法
塗布(スピンコート、スプレーコート、スリットコート)→乾燥(100℃3分)→熱硬化(230~380℃)30分
  ※硬化温度は求められる耐熱性によって決定します。例えば300℃の耐熱性が必要な場合は300℃以上で硬化させてください。
※成膜可能膜厚:0.05 µm~2.5 µm

塗布膜の特性
鉛筆硬度8H
透 過 率99%以上 (550 nm)
誘 電 率4.2~4.7 (@ 1 MHz)
屈 折 率1.40 (550 nm)
耐薬品性2.38%TMAH, 5% HCl, 5%H2SO4, PGMEAなどに耐える
フッ酸・強アルカリには溶解
耐熱温度硬化温度を上限とし、最大400℃まで

用途例
  • 半導体, LCD, OLED用 層間絶縁膜
  • タッチパネルやセンサー用の透明絶縁膜
  • 金属箔・シートの耐高温絶縁膜
  • 金属粉の絶縁コーティング
  • 反射防止膜(単独あるいは多層膜の最表層)

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Maxsil V1はポリ(メチルビニル)シロキサン構造を持ち、Maxsil 410, Maxsil S1などのポリメチルシロキサンの特徴を受け継いでいます。
Maxsil V1の際立った特徴として、架橋・硬化の機構がシラノール縮合とメチルービニルのラジカル的架橋が同時に起こることで、高い架橋密度を達成します。*

*MRS Proceedings, 1247, 1247-C08-08. doi:10.1557/PROC-1247-C08-08

高度に架橋が進んだ効果で膜が緻密となり、硬度や誘電率の上昇が見られ、ハードコートや誘電体としての特性の向上に寄与します。

 
塗布液の性状
外観・性状無色透明液体
固形分濃度 5 - 25 wt%
主成分 ポリ(メチルビニルシロキサン)
溶 媒 IPA, PGME, PGMEAなど

成膜方法
塗布(スピンコート、スプレーコート、スリットコート)→乾燥(80~10℃3分)→熱硬化(150~250℃)30分
  ※硬化温度は求められる耐熱性によって決定します。例えば300℃の耐熱性が必要な場合は300℃以上で硬化させてください。
※成膜可能膜厚: 最大 0.9 µm

塗布膜の特性
鉛筆硬度9H
透 過 率98%以上 (550 nm)
屈 折 率1.41 (550 nm)
誘 電 率5.4 (@ 1 MHz)
リーク電流1 nA/cm2 @1 MV/cm
絶縁耐圧>5 MV/cm @ 1 μA
密 着 性ガラス, SiNx, SiO2に対し 5B(剥がれなし)
耐薬品性2.38%TMAH, アセトン, 5%H2SO4, PGMEAなどに耐える
フッ酸・強アルカリには溶解
耐熱温度370℃(N2中)
500℃クラック発生限界(N2中)
用途例
  • 耐候性、撥水性金属用耐擦傷ハードコート
  • ガラス表面・メッキのハードコート
  • TFT用ゲート絶縁膜
  • 電子デバイス用耐熱透明オーバーコート

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ポリ(フェニルシロキサン)

フェニル基で置換したポリシロキサンは、高い耐熱性と透明性を持ち、柔軟で強靭な材料になります。熱収縮率が小さく、応力も小さいため、高温下でも割れにくい特徴があります。

特にフェニル基置換率が50%以上のポリフェニルシロキサンは、ガラスと同等の高い屈折率を有し、自己リフロー性も合わせ持つため透明な厚膜を形成します。

Maxsil S22は、フェニル化率60%の代表的なポリフェニルシロキサン材料です。通常のポリフェニルシロキサン材料は一般に300℃の高温硬化が必要ですが、 Maxsil S22は低温硬化の機構を工夫することで180℃の低温で硬化することができます。低温で硬化するにもかかわらず、卓越した耐熱性(300℃空気中, 450℃不活性雰囲気/窒素中) があります。また優れた透明性(98%以上)と無アルカリガラスと同じ屈折率、優れた電気絶縁性、優れた耐薬品性があり、シリコンやガラスと強固に密着することから、ガラスやシリコン上の 配線用の絶縁膜として卓越した特性を発揮します。熱リフロー効果による高い平坦性と溝埋め込み性があることから、配線間の埋め込みや傷の補修などの用途もあります。


 
塗布液の性状
外観・性状無色透明液体
固形分濃度 10 - 25 wt%
主成分ポリ(フェニルビニルメチルシロキサン)
溶 媒PGMEAなど
粘 度~3 mPa・s (25 wt%品)

成膜方法
塗布(スピンコート、スプレーコート、スリットコート)→乾燥(150℃3分)→熱硬化(230*~280℃)30分
*180℃で硬化できる低温硬化バージョンもあります。
※硬化温度は求められる耐熱性によって決定します。例えば300℃の耐熱性が必要な場合は300℃以上で硬化させてください。
※成膜可能膜厚: 最大 10 µm (シリコンウェーハ上) 基板の材質/熱膨張率によって最大形成可能膜厚は変わります。

塗布膜の特性
鉛筆硬度3H~4H
透 過 率98%以上 (550 nm)
屈 折 率1.52 (550 nm)
誘 電 率2.92 (@ 1 MHz)
リーク電流20 nA/cm2 @1 MV/cm
絶縁耐圧4.6 MV/cm @ 1 μA
密 着 性ガラス, SiNx, SiO2に対し 5B(剥がれなし)
耐薬品性2.38%TMAH, アセトン, 3.5%(COOH)2, DMSO, PGMEAなどに耐える
フッ酸・強アルカリには溶解
耐熱温度450℃(0.1% 重量減, N2中)
用途例
  • ガラス・金属基板の絶縁アンダーコートと平坦化
  • プラズマ/FEDディスプレイやパワー半導体用高性能耐熱絶縁膜
  • TFT用ゲート絶縁膜
  • 電子デバイス用耐熱透明オーバーコート
  • ガラス基板の傷補修や強度向上

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Maxsil S7は、ジメチルシロキサンユニットを共重合したポリフェニルシロキサンで、他のポリシロキサン材料に比べて格段に柔軟性が高く、低揮発性と450℃(不活性雰囲気中)という高い耐熱性があります。 また透明で非常に厚い膜が形成でき、熱リフロー性があるので、ガラスなどの透明基板表面の平坦化に性能を発揮します。



 
塗布液の性状
外観・性状無色透明液体
固形分濃度 30 - 70 wt% (調整可)
主成分 ポリ(フェニルジメチルシロキサン)
溶 媒PGMEAなど
粘 度 100 mPa・s (50 wt%品)

成膜方法
塗布(スピンコート、スプレーコート、スリットコート)→乾燥(150℃3分)→熱硬化(280~300℃)30分 N2中または大気中
※硬化温度は求められる耐熱性によって決定します。例えば300℃の耐熱性が必要な場合は300℃以上で硬化させてください。
※成膜可能膜厚: 最大 10 µm (シリコンウェーハ上) 基板の材質/熱膨張率によって最大形成可能膜厚は変わります。

塗布膜の特性
鉛筆硬度6B
透 過 率98%以上 (550 nm)
屈 折 率 1.53 (550 nm)
誘 電 率 2.9 (@ 1 MHz)
リーク電流20 nA/cm2 @1 MV/cm
絶縁耐圧4.6 MV/cm @ 1 μA
密 着 性ガラス, SiNx, SiO2に対し 5B(剥がれなし)
耐薬品性2.38%TMAH, アセトン, 3.5%(COOH)2, DMSO, PGMEAなどに耐える
フッ酸・強アルカリには溶解
耐熱温度450℃(0.1% 重量減, N2中)
用途例
  • ガラス・金属・ポリイミド基板の絶縁アンダーコートと平坦化
  • プラズマ/FEDディスプレイやパワー半導体用高性能耐熱絶縁膜
  • LED/ICチップの耐熱封止
  • 高電圧電子デバイス用耐熱絶縁パッシベーション
  • ガラス基板の溝埋込、線間絶縁平坦化

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ハイブリッドシロキサン材料

ハイブリッドシロキサン材料は、側鎖をアクリロイル基などの重合性基で置換したポリシロキサンに、重合性の有機モノマーを配合し、光または熱によってポリシロキサン骨格にモノマーを重合させる仕組みをもつ、無機ー有機ハイブリッド材料です。


基本の骨格構造の無機Si-O-Siシロキサン鎖を、有機モノマーが架橋する構造になっており、耐熱性・透明性に優れるという"無機"ポリシロキサン材料の特長をそのままに、有機分子架橋によって高硬度から高柔軟性までさまざまな材料を作り出すことができます。また有機架橋は低温での反応が可能で、低温度での硬化が可能になります。

Maxsil 230は、アクリル化したポリ(メチルフェニルシロキサン)に、アクリルモノマーを配合した、熱硬化性材料で、120~150℃という低温での硬化が可能です。膜は透明で硬度が高く、比較的厚いハードコート用に最適です。
塗布液の性状
外観・性状無色透明液体
固形分濃度10 - 40 wt% (調整可)
主成分ポリ(フェニルメチルシロキサン)+アクリルモノマー
溶 媒PGMEAなど
粘 度~3 mPa・s (30 wt%品)

成膜方法
塗布(スピンコート、スプレーコート、スリットコート)→乾燥(80℃1分)→熱硬化(120~150℃; 標準140℃)30分 大気中
※硬化温度は求められる耐熱性によって決定します。例えば300℃の耐熱性が必要な場合は300℃以上で硬化させてください。
※成膜可能膜厚: 最大 3 µm 基板の材質/熱膨張率によって最大形成可能膜厚は変わります。

塗布膜の特性
鉛筆硬度 3~4H
透 過 率98%以上 (550 nm)
屈 折 率1.50 (550 nm)
誘 電 率2.9 (@ 1 MHz)
リーク電流50 nA/cm2 @1 MV/cm
絶縁耐圧2 MV/cm @ 1 μA
密 着 性ガラス, ITO, Moに対し 5B(剥がれなし)
耐薬品性2.38%TMAH, アセトン, 3.5%(COOH)2, DMSO, PGMEAなどに耐える
フッ酸・強アルカリには溶解
耐熱耐久性80℃ 300h 合格
耐候性 60℃ 90% 240h 合格
用途例
  • プラスチックシート・フィルムのハードコート
  • タッチスクリーンパネル製造用ITO層間絶縁膜(OG1), カバーコート(OG2)
  • LCD/OLED用TFTアレイの平坦化絶縁保護膜

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Maxsil 600Tは、アクリル化ポリフェニルシロキサンに架橋剤と反応性希釈剤にアクリルモノマーを配合した、厚膜対応・無溶媒のハイブリッドシロキサン材料です。 低応力・低脱ガスでありながら250℃の高温に耐えます。ポリイミドなどのフレキシブル基板の平坦化やパッシベーション用途に好適です。


塗布液の性状
外観・性状無色透明液体
固形分濃度 10 - 100 wt% (調整可)
主成分 ポリ(フェニルシロキサン)+アクリルモノマー
溶 媒 無溶媒; PGMEAなどの希釈も可
粘 度 500 mPa・s (100%品)

成膜方法
塗布(スピンコート、スプレーコート、スリットコート)→プリベーク(150℃1分)→熱硬化(200~250℃; 標準230℃) 30分 大気中

塗布膜の特性
透 過 率 95~96% (550 nm)
屈 折 率 1.54 (550 nm)
誘 電 率 4.1 (@ 1 MHz)
絶縁耐圧 2.2 MV/cm @ 1 μA
密 着 性ガラスに対し 5B(剥がれなし)
耐薬品性2.38%TMAH, アセトン, 3.5%(COOH)2, DMSO, PGMEAなどに耐える
フッ酸・強アルカリには溶解
耐熱性 250℃ (0.5 wt%重量減少)
用途例
  • ポリイミド基板の平坦化・絶縁パッシベーション
  • LCD/OLED用TFTアレイの平坦化絶縁保護膜

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感光性シロキサン材料
感光性シロキサンの特長

感光性シロキサン材料は、紫外線(UV)露光と現像によって直接膜をパターニングできることが特徴です。【いわゆる紫外線硬化材料ではありません】
膜を直接パターニングすることによって、従来の方法にくらべて大幅に工程数と設備・薬液コストを削減できます。

 
アクリルーハイブリッド系(永久透明レジスト/絶縁膜)

アルカリ水溶液可溶性のアクリル化シロキサンをアクリルモノマーと配合し、光ラジカル重合によって露光部を現像液に不溶化することでパターニングを可能とした材料です。感光性タイプはネガ型(露光部がパターンで残存)で、高感度で低温プロセス可能なのも特長です。

ベースポリマーにフェニルメチルシロキサンを使用した高透明度の感光・パターニング材料です。i線(ブロードバンド可)で露光・現像によって直接透明絶縁膜をパターニングできます。耐薬品性に優れ、 硬化膜は現像液・エッチング液などに侵されません。ガラス基板や配線材料・電極材料として使われる ITO, Moなどと強固に密着 します。現像後の膜は、低温(120~150℃)で硬化でき、ハードコートとしても使える硬度(4H)もあわせ持ちます。


塗布液の性状
外観・性状無色透明液体
固形分濃度10 - 40 wt% (調整可)
主成分ポリ(フェニルメチルシロキサン)+アクリルモノマー
溶 媒PGMEAなど
粘 度~3 mPa・s (30 wt%品)

成膜方法
塗布(スピンコート、スプレーコート、スリットコート)→乾燥(80~100℃1分)→露光(100 mJ/cm2)→現像(2.38% TMAH aq. 1 min)→リンス→キュアベーク(120~150℃ x 30 min, 大気中)
※露光波長はi線またはブロードバンドが推奨です。露光エネルギーは膜厚 1µm当たり100 mJ/cm2以上与えてください。
※現像中、露光部に最大で約1µm/minの膜減りが出る可能性があります。乾燥温度や現像条件、露光条件に依りますので、条件出しの試験をお薦めします。
※成膜可能膜厚: 最大 3 µm 基板の材質/熱膨張率によって最大形成可能膜厚は変わります。

塗布膜の特性
鉛筆硬度 3~4H
透 過 率98%以上 (550 nm)
屈 折 率1.50 (550 nm)
誘 電 率2.9 (@ 1 MHz)
リーク電流50 nA/cm2 @1 MV/cm
絶縁耐圧2 MV/cm @ 1 μA
密 着 性ガラス, ITO, Moに対し 5B(剥がれなし)
耐薬品性2.38%TMAH, アセトン, 3.5%(COOH)2, DMSO, PGMEAなどに耐える
フッ酸・強アルカリには溶解
耐熱耐久性80℃ 300h 合格
耐候性 60℃ 90% 240h 合格
用途例
  • 先進タッチスクリーンパネル(G2, On-Cell, In-Cell)製造用ITO層間絶縁膜(OG1), カバーコート(OG2)
  • LCD/OLED用TFTアレイの平坦化絶縁保護膜

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オルガノシロキサン系

オルガノシロキサン系の感光材料は、ポリマー末端のシラノールを光酸発生剤で縮合硬化・不溶化させる機構によるもので、有機モノマーを含まないため、高い耐熱性と耐薬品性が得られます。 感光性タイプはネガ型(露光部がパターンで残存)です。

ベースポリマーは、非感光性バージョンのMaxsil 410と同一で、酸発生剤(PAG)によって感光性を与えたものです。i線で露光・現像によって直接パターニングできます。無機骨格100%の材料なので、優れた耐熱性があり、シリコン, ガラスとの強固な密着が得られます。ハードコートとしても使える硬度(4H)もあわせ持ちます。


塗布液の性状
外観・性状無色透明液体
固形分濃度 5 - 30 wt% (調整可)
粘度 2.5 mPa・s (13 wt%品)
主成分 ポリ(メチルシロキサン)
溶 媒 PGMEA

成膜方法
塗布(スピンコート、スプレーコート、スリットコート)→プリベーク(100℃ 3分)→露光(200 mJ/cm2)→露光後ベーク (PEB) (120℃ x 3 min)→現像(2.38% TMAH aq. 1 min)→リンス→キュアベーク(230~400℃ x 30 min, 大気中)
※露光波長はi線が推奨です。
※露光後かつ現像前ののベーキング処理(PEB)が必要です。
※成膜可能膜厚: 最大 2 µm; 基板の材質/熱膨張率によって最大形成可能膜厚は変わります。

塗布膜の特性
鉛筆硬度 8H (ガラス基板上)
透 過 率 99%以上 (550 nm)
屈 折 率 1.40 (550 nm)
誘 電 率 4.2~4.7 (@ 1 MHz)
絶縁耐圧 1.9 MV/cm @ 1 μA
密 着 性 ガラス,シリコンに対し 5B(剥がれなし)
耐薬品性2.38%TMAH, アセトンなどに耐える
フッ酸・強アルカリには溶解
耐熱性 400℃ (5%膜厚減少)
用途例
  • 半導体, LCD, OLED用 層間絶縁膜
  • CVD-SiO2(+フォトリソ+エッチング工程) の代替

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